
弁護士の営業の進め方 知ってもらう・相談予約・受任の手順
この記事の要点
- 弁護士の営業は認知・相談予約・受任の手順を体系化することが重要です。
- ホームページによる記事作りと紹介開拓を組み合わせることで安定します。
弁護士が新規案件を安定して獲得するための営業活動は、自身の得意分野を明確にした上で「認知獲得」「相談予約」「受任」の3つのフェーズを体系的に進めることが重要です。やみくもに挨拶回りを繰り返すのではなく、Web発信とリアルな紹介開拓を組み合わせることで、効率的に相談者を獲得する体制が整います。
弁護士の営業活動は、かつての広告制限緩和以降、多様化が進んできました。しかし、独立開業時や新規分野への参入時に「具体的にどのような手順で営業を進めればよいか分からない」と悩む弁護士は少なくありません。本記事では、受任に結びつく具体的な営業手法と、失敗を避けるための注意点をわかりやすく解説します。
弁護士が営業活動を始める前の準備
事前の準備なしに営業を始めても、費用や時間ばかりが消費され、受任に至らないケースがあります。まずは以下の2点を整理します。
取扱分野とターゲットの明確化
すべての法律問題を網羅しようとすると、誰の目にも留まらない事務所になってしまいます。例えば「企業法務」と広く掲げるのではなく、「従業員数30名〜100名程度のITスタートアップ向け労務管理」のように、対象となる顧客の規模や業界を絞り込みます。ターゲットを絞ることで、発信するメッセージが尖り、相談検討者の関心を惹きつけやすくなります。
提供できる価値(強み)の言語化
競合となる他の法律事務所と比較された際、自事務所が選ばれる理由を言語化します。「迅速なレスポンス」や「特定の業界知識に精通していること」など、相談者が重視する要素を具体的な言葉で表現します。
弁護士の主な営業手法
弁護士の営業手法は、大きく分けて「Web媒体を活用した手法」と「リアルなつながりを活用した手法」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、組み合わせて運用することが推奨されます。
1. ホームページによる情報発信と記事作り
自事務所のホームページを構築し、見込み客が検索しそうなキーワードに合わせた記事作りを行います。法律問題に直面したユーザーが検索エンジン経由で訪問し、信頼できると判断した場合に問い合わせにつながります。
- メリット: 24時間365日、自動で情報発信を続けられる資産になる。
- デメリット: 成果が出るまでに時間がかかる。
2. Web広告・ポータルサイトの活用
Googleなどの検索連動型広告(リスティング広告)や、弁護士検索ポータルサイトへ掲載する手法です。今すぐ弁護士を探している層にダイレクトにアプローチできます。
- メリット: 広告出稿後、短期間でアクセスや問い合わせを獲得しやすい。
- デメリット: 競合が多い分野では広告費(クリック単価)が高騰し、費用対効果が合わなくなるリスクがある。
3. 他士業・異業種からの紹介開拓
税理士、司法書士、社会保険労務士、不動産会社など、法律問題の相談を初期に受けやすい他職種とのネットワークを築きます。
- メリット: 信頼関係が前提にある。紹介の謝礼の扱いは規程で決まっているので、所属弁護士会で確かめる。
- デメリット: 定期的なコミュニケーションを維持するための時間と労力が必要であり、紹介数が相手の案件状況に左右される。
4. セミナー・勉強会の開催
経営者団体や一般向けに、トラブル予防や最新の法改正に関するセミナーを開催します。講師としての実績が信頼を生み、個別相談へ移行しやすくなります。
- メリット: 専門家としてのポジションを確立でき、一度に多くの見込み客と接点を持てる。
- デメリット: 企画、資料作成、集客などの準備に多大なリソースを割く必要がある。
5. 弁護士会活動や地域活動への参加
所属する弁護士会の委員会活動や、地域の商工会議所、ロータリークラブなどの活動に積極的に参加し、顔を広げます。
- メリット: 同業者や地域有力者との人脈ができ、共同受任や紹介につながる。
- デメリット: 直接的な案件獲得までに長期的な関係構築が必要で、即効性は期待しにくい。
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無料で記事を作る →認知から受任に至る3ステップの実践手順
営業活動を効果的に機能させるためには、「知ってもらう(認知)」「相談を予約してもらう(リード獲得)」「受任する(成約)」の3つのステップを順番に進める必要があります。
ステップ1:知ってもらう(認知獲得)
まずは自事務所の存在をターゲットに知らせます。ホームページの記事作りやWeb広告の出稿、あるいは地道な紹介営業を行い、接点を作ります。
ステップ2:相談を予約してもらう(相談予約)
認知したユーザーが、スムーズに相談予約を取れる導線を設計します。
- ホームページ上の問い合わせフォームは入力項目を極力減らし、24時間受け付ける。
- 電話受付の場合は、丁寧で分かりやすい対応手順を定めておく。
- 初回相談のハードルを下げる工夫(例:オンライン相談の導入など)を行う。
ステップ3:受任する
相談に来られた方が、安心して依頼を決められるように面談を行います。
- 相談者の話を遮らず、共感を示しながら丁寧に傾聴する。
- 解決までの見通し、必要な費用、発生しうるリスクについて、専門用語を避けて分かりやすく説明する。
- 見積書や委任契約書を速やかに提示し、意思決定をサポートする。
弁護士の営業における失敗例と回避策
営業活動を進める中で、陥りがちな失敗パターンとその対策を紹介します。
失敗例1:営業活動を非弁提携にあたる形で他者に丸投げしてしまう
集客や案件獲得を急ぐあまり、弁護士でない外部の業者や紹介者に、事件の周旋の対価として実質的な紹介料や報酬を分配するような契約を結んでしまうケースがあります。これは非弁提携などの規程に抵触する恐れがあります。
- 回避策: 外部サービスや他者と提携する際は、その仕組みがルールに適合しているかを必ず精査してください。集客やマーケティングの支援を受ける場合も、業務委託の範囲や対価の性質を明確にすることが不可欠です。
失敗例2:ホームページを作っただけで放置してしまう
「高い費用をかけてホームページを制作したものの、アクセスが全くなく問い合わせがゼロ」というケースは多々あります。
- 回避策: ホームページは公開がスタートラインです。ターゲットが求める疑問に答える記事作りを継続的に行い、検索エンジンからのアクセスを増やす施策を並行して実施する必要があります。
失敗例3:誇大広告や不適切な表現を用いてしまう
他事務所との差別化を意識しすぎるあまり、客観的な根拠のない表現や、相談者に過度な期待を持たせる表現を掲載してしまうケースです。
- 回避策: 信頼を第一とする士業において、不適切な広告表現は、信用を損ねます。発信する文言は慎重に検討しましょう。
営業活動におけるコンプライアンスと注意点
弁護士の営業・広告活動には、他の一般ビジネスとは異なる厳格なルールが存在します。活動を開始する前に、必ず以下の点を確認してください。
広告規程・倫理の遵守
日本弁護士連合会が定める「弁護士等の業務広告に関する規程」や、各所属弁護士会が設けている独自の指針やガイドラインを必ず確認してください。詳細な解釈や最新の運用ルールについては、日本弁護士連合会や所属の弁護士会へ直接問い合わせて確かめるようにしてください。
信頼性を損なわない実績アピール
ホームページ等で実績を示す際、「勝訴率」「解決実績◯件」のような見せ方はすすめません。表示できない事項が規程で決まっているので、日本弁護士連合会と所属弁護士会の規程・指針で確かめてください。解決事例を載せられる条件は規程で決まっています。載せる前に、日本弁護士連合会と所属弁護士会の規程・指針で確かめてください。
営業活動を継続的に行い、自事務所の強みを正しく伝えることで、真に支援を必要としている相談者との出会いを生み出すことができます。ルールを遵守しながら、自事務所に適した営業スタイルを確立させていきましょう。
よくある質問
- Q. 独立直後の弁護士がまず取り組むべき営業手法は何ですか?
- A. まずは自事務所のホームページを立ち上げて得意分野を明確にし、並行して他士業や異業種への挨拶回りを行い、紹介のルートを開拓することをおすすめします。
- Q. ホームページの記事作りは本当に集客に効果がありますか?
- A. ターゲットが検索するキーワードに沿った質の高い記事作りを継続することで、検索経由のアクセスが増加し、安定した問い合わせ窓口として機能します。
- Q. 紹介案件を増やすために必要なことは何ですか?
- A. 紹介元となる他士業や事業者に対して、自分が「どの分野のどのようなトラブルを解決できるか」を具体的に伝えておくことと、紹介された案件への迅速な対応・報告が重要です。



